映画『Viva! 公務員』~明るくて自虐的なイタリアンコメディー
こんにちわ。
コロンボです。
今回は、イタリアのコメディー映画『Viva! 公務員』の紹介です。
基本情報
- タイトル Viva! 公務員
- 原題 QUO VADO?
- 製作 2015年 イタリア 86分
- 監督 ジェンナーロ・ヌンツィアンテ
- キャスト ケッコ・ザローネ、エレオノーラ・ジョヴァナルディ、ソニア・ベルガマスコ
- ジャンル コメディー
ストーリー
主人公のケッコ・ザローネ(役名と同じ)の父は公務員。彼は小さいころから、気楽に働いて、そして地位も補償も安定している公務員になることに憧れていた。そして、念願かなって県の職員となって15年目の年、国の行政改革の実施に伴って、公務員の大幅なリストラが行われることになった。よもや自分は関係ないだろう、と高をくくっていたケッコだったが、結局彼もリストラの対象になってしまうのだった。
感想など
ヨーロッパの方では、公務員の人数が結構多いというように聞いていますけど、イタリアもやっぱりそうなのかな、と思って調べてみたら、人口比率で日本の18.5%に比べてイタリアは20.2%と少し多めでした。でもフランスは36.4%だしドイツも35.0%なので、ヨーロッパの方では比較的少なめのようです。
そして、映画ではかなりデフォルメされているんでしょうけど、ある意味特権的な意識があるのかもしれませんね。
で、映画の話に戻りますが、ケッコにとっては公務員という地位が何より大事。恋人を捨ててでも、どんな過酷な状況に置かれても、公務員という立場にしがみつこうとします。
彼の上司である女部長シローネは、大臣の命令を受けてあの手この手を使ってケッコを辞職へ追い込もうとします。多額な退職金を餌にしたり、それでもなびかなければ彼に過酷な地域での過酷な仕事に赴任させたり。
どうしても辞職しない彼は、果てには極寒の北極にまで異動させられてしまいます。しかも、仕事内容は、北極で研究する研究者を、どう猛なホッキョクグマから守るという危険極まりない仕事。
ついに彼も音を上げるか・・・と思ったその時、彼に運命が訪れるんです。研究者として紹介された人が、とてもきれいな女性だったんですね。
彼女の顔を見たとたん、彼の心に火がついて、がぜん北極の仕事に夢を抱くことなりました。
なんと、わかりやすい・・・(^-^; ま、お約束のお約束、だけども笑えますね。
主人公のケッコ・ザローネも最高です。嫌な奴だったり、胡散臭い奴だったりといろんな表情を見せてくれますが、一貫して見ているだけで面白いです。
なんとなく、アメリカドラマ「SUITS」に出てくるルイス・リット役のリック・ホフマンを彷彿とさせる、独特で存在自体に可笑しみがある感じですね。
※リック・ホフマン
↓ ↓
この映画は、最初から最後まで面白いところだらけで、深刻さのかけらもありません(笑)
映画では、いろんな人種やいろんな性的マイノリティーの人たちが出てきますが、劇中には人種差別ギリギリ(もしかしたらアウト?)のような表現やセリフがいっぱい出てくるし、イタリア人に対する自虐的な笑いもふんだんに盛り込まれていて、それがまた可笑しくて。
自虐的な笑いに関しては、まーイタリア人自身が作っているからだいじょうぶなんかなーって思いますけど、でも
イタリアの公務員ってどんなんやねん!?
とは思ってしまいますよね(^-^;
で、差別的なセリフなんかに対しては、なぜかそこには嫌な感じは一切しないんですよね~。
もしかすると、そこに、
多様性に対して寛容な世界って?
といったような、この映画のメッセージがあるようにも思えるんですねー、
知らんけど(笑)
どうしても辞職をしないケッコに対して、ついには女部長のシローネが色仕掛けを仕掛けてくるところなんて、「こんな男のためになんでそこまで??」 と笑いがこみあげてきてしまいましたわ。
あくまで、公務員という地位にしがみつこうとするケッコだが、最後に大きな選択にせまられることに・・・
はたして彼の選ぶ道はどこに向かっているのでしょうか?
彼を辞職に追い込めないシローネ部長の行きつくところも見ものです。
結末はぜひご覧ください。
日本とも、アメリカとも一味違ったイタリアンコメディーです。
ではまた~☕
野崎まど氏著のSF小説『タイタン』~神話の世界のような壮観な物語。
こんにちわ。
コロンボです。
本も映画もいろんなジャンルを楽しむ方なんですが、今回は日本のSF小説『タイタン』を読んだので、紹介したいと思います。
著者は野崎まど氏、2020年4月講談社より発行。386ページ(単行本)
まずは、講談社BOOK倶楽部による『タイタン』の紹介文から引用です。
今日も働く、人類へ
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。
この紹介文を読んで、まずその世界観に惹かれてしまいました。日本のSFは往々にして小さな世界にとどまってしまうきらいがあるという印象を持っていたんですが、この小説はスケールも大きそうで、またAI技術の発展した人類のまだ経験したことのないような未来を描いているようで、私の渇いた想像力と好奇心をどう満たしてくれるんだろう、ととても大きな期待を抱いてしまったんですよね。
これは読んでみたい!と。
で、実際読んでみたところ、その読みやすさもさることながら、私はその文体にも好感が持てました。
何を読むにも、文体が好みでなかったら読んでいても楽しくならないですからね、そこは大事です。
で、AIが進歩して人間がもう働かなくてよくなった時代という世界観もしっかりと描かれているし、ストーリー展開も予想ができない展開でとても面白い。
この小説で常に問われているのは、
仕事とは一体何なのか?
です。
AIであるタイタンが世界に12基存在し、そのうちの1基「コイオス」という名のタイタンが、仕事というものに疑問を持ち、精神疾患のような状態に陥ってしまうところからこの物語は始まっていくのです。
主人公の内匠成果とコイオスが、対話を通じて仕事とは何なのか?、働くとは何なのか?の探求していくんです。
内匠成果にとっては生まれて初めてする「仕事」であり、彼女は働くにつれて仕事をする喜びにも気づいていきます。
よくあるような、AIが自我を持ち始めて、人間に対しての脅威になっていくようなストーリーではなく、ちょっと意表を突かれるような視点が面白かったですね。
そして、1000メートルを超える大きさの「コイオス」が立ち上がるシーンは規格外のスケールで非常に衝撃的ですし、とてもビジュアル的でもあります。
また、2体のタイタン「コイオス」と「フェーベ」が立ち並ぶところなんて、想像するだけで壮観です。
この世のものではないかのよう、まさに「神話の世界」、「神々の降臨」のようです。
内匠成果と悩めるコイオスは、物語の最後にいったい何を見つけるのでしょうか。
「コイオス」がもう1体のタイタン「フェーベ」と出会い、彼女?との対話の末に得るものは?
その対話のシーンも実は見ものです。
結末は、
予想外であり、期待を大きく上回っていて、
思わず、そう来たか~、とうなってしまうものになっていました。
最後まで期待を裏切らない、いやいい意味で期待を裏切ってくれる作品『タイタン』でした(*^^*)
ではまた~☕
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映画『マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり』~サイテーな出会いのサイコーに面白い大人のラブコメ
こんにちわ。
コロンボです。
今回はぼくの好きな映画のジャンルのひとつ、ラブコメの紹介。
イギリスを舞台にした大人のラブコメ、『マン・アップ 60億分の1のサイテーな恋のはじり』です。
最初に言ってしまいますが、この映画、サイコーに面白かったですね~(*^^*)
基本情報
- タイトル マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり
- 原題 MAN UP
- 製作 2015年 イギリス、フランス 88分
- 監督 ベン・パーマー
- キャスト サイモン・ペッグ、レイク・ベル
- ジャンル コメディー、ラブコメ
ストーリーや感想など
この映画の主人公、ナンシーは34歳で恋人のいないジャーナリスト。彼女の友人や姉は、彼女のために男性を紹介したりしているけれど、恋に自信を失くししているナンシーはなかなか積極的になれないでいる。
思い切って会ってみた男性とは、思わず下品な言葉を言ってしまって相手を引かせてしまったり、とうまくいかず、さらに自信喪失。
そんな時に出会ったのが、サイモン・ペッグ演じるジャックだった。
ある偶然のいたずらで、ナンシーはジャックのデートの相手、ジェシカと人違いされて、40歳のジャックと予期せずでデートすることになるのだ。
しかも彼女は34歳なのに、24歳の女性ということで!
デート中の二人は、相性も良くて意気投合。
2人のやり取りは、本音トークで、下品なセリフ回しもいっぱいで、それがまたいやらしくなくて最高に笑えます。
日本の映画ではそこまで言うセリフはなかなかないし、もし仮にあったとしてもきっとリアリティーにかけてしまうでしょうね。
ボーリング場で偶然再会するナンシーの元同級生のショーンは、昔から彼女にずっと片思いをしてきたという変人で、彼のシーンも超笑える。
終盤には、彼女の正体が分かってしまって、ナンシーは心とは裏腹に、本当のデート相手だった女性とデートすべきだ、とジャックに助言をしてしまうんですね。
彼女たちの恋は果たして、どうなってしまうのか?
彼女たちの恋以外にも、ジャックの元妻が出てきたり、その日がナンシーの両親の結婚40周年の記念パーティーの日だったり、変人ショーンのストーカー的な存在だったり、といろんなスパイスが混じっていて、この映画をさらに面白くしています。
笑えて、泣いて、スピード感もあって、そして最後は、
分かっていても感動してしまう、
そんな最高のストーリーです。
ではまた~☕
サイモン・ペッグが出ていた「宇宙人ポール」の紹介ブログはこちら(^^)/
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映画『サムライせんせい』~笑えて、そしてちょっぴり切ないタイムスリップもの。
こんにちわ。
コロンボです。
今回は、邦画。コメディーでもあり、ファンタジーでもあり、歴史ものでもある『サムライせんせい』の紹介です。
タイムスリップものの時代劇は、古今東西これまでにも色々ありますよね。
現代の人間が過去に行くパターン、そして過去の人間が現代にやってくるパターン。
この映画は、後者のもので、幕末の志士、武市半平太が現代にやってくるという設定です。
武市半平太を主人公としたという目の付け所にも意表を突かれたし、また『サムライせんせい』というタイトルにも興味をそそられましたね~(^^)
基本情報
- タイトル サムライせんせい
- 製作 2017年 日本 93分
- 監督 渡辺一志
- キャスト 市原隼人、橋爪功
- ジャンル ファンタジー、コメディー、歴史
ストーリー
日本中が尊王攘夷か公武合体かで揺れる幕末。失脚して投獄中の土佐勤王党盟主・武市半平太(市原隼人)は、なぜか平成の日本にタイムスリップしてしまう。ぼうぜんとする半平太は、学習塾を経営する老人・佐伯に助けられ、佐伯家に当面の間住まわせてもらうことにする。そして幕末と現代のギャップに困惑しながらも佐伯の学習塾を手伝ううちに、周囲から信頼されるようになる。
感想など
ストーリー展開などは、取り立てて真新しいものはないのだけれど、いい意味でのバカバカしさやゆるさがあったり、出ている役者さんの味とか、ついつい見てしまうストーリー展開とかで、とても面白く見ることができる映画でした(^^)
そして、何といってもマジで笑えます(^^)/
シリアスな場面でも、コミカルな場面でも見事に演じる、市原隼人は最高です!
思いっきり笑わせてもらって、そしてしっかり感動させてもらいました(^^)/
そして、名優の橋爪功も、安定でとても良かったと思いますね~、さすがです(^^)
そしておかしかったのが、坂本龍馬も現代にタイムスリップしてたこと。
この設定は面白かったんですが、私的にはもう少しふたりの絡みの部分を膨らましてほしかったかな~てところですね~
決して大作ではないけれども、この映画は市原隼人の演技あり、笑いあり、青春あり、そして最後にサプライズのような感動あり、のとてもいい作品でした。
それとやっぱり土佐弁が良かったな~
おわりに
ちょっとこの映画とは離れますけど、このタイプのタイムスリップもののドラマで『アシガール』というのがあって(NHK 2017-2018))、2020年に再放送です見たんですが、スッゴく面白かったので紹介しておきます~(^^)♪
主演は、弟の作ったタイムマシンで戦国時代にタイムスリップする現役女子高生役の黒島結菜と、戦国時代の若君を演じる伊藤健太郎。
脇役もイッセー尾形など盤石の配役。
現役高校生が若君を守るため、男のふりをして、そしてなんと足軽となって戦に参加するという、奇想天外なストーリー。
しかし、れっきとした青春物語でもあるんです。
黒島結菜も伊藤健太郎もとても初々しくて、とてもいいです!
そんな、時空を超えたラブコメディー!
面白すぎて、
年甲斐もなくはまってしまいました~(^-^;
ところで、今回紹介した『サムライせんせい』も『アシガール』も、マンガが原作のようです。
マンガ原作が悪いってわけではないけれど、日本のドラマや映画って、本当にマンガが原作のものって多いですよね~
ではまた~☕
映画『シンプル・フェイバー』~予測不能のサスペンススリラー映画
こんにちわ。
コロンボです。
さて、今回は2018年のアメリカ映画、『シンプル・フェイバー』の紹介です。タイトルのシンプル・フェイバーの意味は、「単純な好意」、とか「ちょっとした親切」みたいな感じでしょうか?
まさにこの映画、子どもを預かるといったちょっとした親切から、思いもよらない展開に巻き込まれていく、ちょっと怖い映画なんです。
基本情報
- タイトル シンプル・フェイバー
- 原題 A SIMPLE FAVOR
- 製作 2018年 アメリカ 117分
- 監督 ポール・フェイグ
- キャスト アナ・ケンドリック、ブレイク・ライヴリー
- ジャンル サスペンス、スリラー、ドラマ
ストーリー
夫を事故で亡くし、ニューヨーク郊外で女手一つで子供を育てているステファニー(アナ・ケンドリック)は、子供と同じクラスに息子を通わせるエミリー(ブレイク・ライヴリー)の自宅に招かれる。ファッション業界に身を置き、豪華な家に暮らし、小説家の夫ショーン(ヘンリー・ゴールディング)に愛されているエミリーとステファニーは意気投合し、お互いの秘密を言い合う仲になる。ある日、ステファニーは、エミリーから息子を学校に迎えにいってほしいと頼まれるが、エミリーはそのまま姿を消してしまう。
感想など
ステファニーは、人気動画ブログを運営しているシングルマザーの女性。気遣いができて、まっとうに生きようと常に努力しているが、彼女にも別の一面がある。
そして、息子の同級生の母親であり、ニューヨークでキャリアウーマンとしてバリバリ働くエミリーは、どこかサイコパス的で、ミステリアスで高飛車な雰囲気を持った、とっつきにくい女性。
すべては、ステファニーが、エミリーのところの子ども預かるといった行為が始まりだった。
映画の序盤は、なんでもないただの楽しい日常から始まって、一見ファミリードラマっぽい感じになっている。
ステファニーとエミリーのちょっと風変わりな友情物語なのかなって思いながら観ていたら、ところがどっこい、エミリーが失踪し、エミリーの過去がだんだんと明らかになってくるにつれて、これはミステリー、そしてスリラー映画なんだ!!、と気づかされるのである。
エミリーには、人を寄せ付けない雰囲気があり、またどういうわけか写真を撮られることをかたくなに拒否をする(とても魅力的な女性なのに)。そして、過去を一切語らず、虚言癖もある。
サイコパス的な無気味さを感じるのだ。
一方、明るくてまじめな性格のステファニーは、エミリーとは正反対のお人好し。けれど・・・、映画が後半に進むにつれて、ステファニーも実はサイコパス??なんじゃないかって思うようになってしまうんですね。
観ていながら、先の展開が全く読めない。何かがずっと引っ掛かりながら、その謎がなんだかわかりそうで分からない。はたしてこれからどうなっていくんだろう?って思いながら観ていくのが、本当に楽しかった。
映画終盤、一体だれがいい奴で、誰が悪い奴なのか、誰が味方で誰が敵なのか、どう観たらいいのかわからなくなってくるのも面白い。
観ている方も、誰目線で観るのがいいのか混乱してしまうのだ。
そして最後の、大どんでん返しの仕掛けには、想像のはるかに超えていて、びっくりだった。「おお、こう来たか~?!」って感じ。
はじめは、エミリーの強烈なキャラクターがストーリーにミステリアスな感じを出していたが、途中からステファニーのキャラクターがとても際立ってくるのだ。
普通だった彼女の行動が徐々にエスカレートして、非常に大胆になって変わっていくのがとても面白いのだ(^^)/
予想もつかない展開、そして思いがけない結末が待っている!!
『シンプル・フェイバー』。とても面白い映画でした(*^^*)
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小説『ザリガニの鳴くところ』~ディーリア・オーエンズ著
こんにちわ。
コロンボです。
今回は、2018年に書かれた、アメリカの小説『ザリガニが鳴くところ』を紹介します。
著者は、ディーリア・オーエンズ。友廣純訳。
ストーリー
舞台はアメリカのノースカロライナ州の湿地帯。1969年、沼の上で町の人気者でプレイボーイ的存在のチェイス・アンドリューズが死んでいるところを、少年たちが発見するところから始まる。
主人公はカイアという少女。彼女は、湿地の奥の小屋で、貧乏白人(ホウィト・トラッシュ)として生まれ育つ。1952年、彼女6歳のまだほんの小さな少女。
人里から離れ、街の白人からは差別されながらの生活を送っていた。彼女の父は、元軍人であったが、退役後は酒におぼれ、家族に暴力をふるう毎日。
やがて、彼女の最愛の母は家族を置いて家を去り、兄弟も去り、ついには父も去り、彼女はたった一人、湿地の小屋で生きていくことになるのだった。
物語は、1969年の殺人事件と、1952年からのカイヤの成長の軌跡とが並行して進んでいき、やがてカイアのストーリーが1969年に追いつくという構成になっている。
カイアは、外の人たちとはほとんど交流したことがなかったため、成長過程をほとんどたったひとりきりで過ごす。彼女の周りには、豊かな自然と、彼女が愛してやまない湿地の動植物にあふれ、彼女は動植物と会話をしながら、美しい少女に成長していくのである。
しかし、そんな彼女にも、何人かの味方のような存在がいた。それは、テイトという少年は、彼女の兄の友人で、彼女に読み書きを教え、彼女の世界はそれによって大きく広がることになる。また、当時は差別の的であった黒人のジャンピン(ジャンピン夫妻がなんと優しく温かいことか)は、彼女に何とか生活の糧を得るすべを与えるのだ。
思春期を迎えた彼女は、テイトを愛し、そしてまた次は町のプレイボーイ、チェイスとも知り合い、彼を愛するようになる。
彼女は成長し、成人になった。おりしも、その時に起こった、チェイスの殺人事件。
彼女は、チェイス殺しの容疑者となり、裁判にかけられるのである。
感想など
感想を言ってしまえば、この物語はまるでキラキラした宝石箱のように美しくて、心のどこかにずっと大切にしまっておきたくなるような物語だ。そして大いに感動する物語でもある。
カイアの少女時代から思春期までの心の成長。思春期に現れる自制心と本能的な心と体の揺らぎを、とても鮮やかに描き出していて、読む方も非常に気持ちを揺さぶられるのである。
そして、チェイス殺人の容疑者となったカイアの裁判の場面は、とてもスリリングで、ドキドキしてしまうのだ。
そして、彼女の強さ、自然や動植物に対する愛情、そして彼女を愛する人々の優しさ。すべてがこの物語に輝きと、溢れんばかりの生命力を与えているのである。
「湿地の少女、カイア」は、本当に愛しく、その彼女の物語はきっと読んだ者の心に深く息づくことになるだろうと思う。
おわりに
ところで、作者「ディーリア・オーエンズ」は少し異色な経歴を持つので、ちょっとだけ紹介しておこう。
彼女がこの小説を書いたのが70歳になってからという。そして、彼女の小説としてはこれが最初の作品であるのだ。70歳にしてこの少女の心の、微妙なひだを描き、また純粋な心をこれほどまでにピュアに描いていることには驚きである。
それまで彼女は、動物学で学士号をとるなど、学者として有能で、カイアと同じようにアフリカ、カロライナ州の山中に身を置き、自然に親しんだ生活を送ってきたらしい。
そんな彼女だからこそ、作中の動物や植物の描写はとても美しくて鮮やかに書くことができたのだろう。
そして、小説を書くという夢を幼いころから持っていて、ようやく70歳にしてその夢をかなえたのである。彼女のたくさんの知識と想いとが詰まったこの物語が、これほど胸を打つものになっているのはうなずける話である。
最後に小説の中で、生き物の生命力の根源を表しているような、とても印象深い文章を紹介して、終わりにしようと思う。
ここには善悪の判断など無用だということを、カイアは知っていた。そこには悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけなのだ。たとえ一部の者は犠牲になるとしても、生物学では、善と悪は基本的に同じであり、見る角度によって替わるものだと捉えられている。
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コーヒー焙煎に初挑戦してみました!
こんにちわ。
コロンボです。
さて、今回はコーヒー焙煎に初挑戦した記事を書きたいと思います。
コーヒーのブログは久しぶりですが、このブログは映画や本だけでなく(手帳もです)、コーヒーもメインに扱っているんです(*^^*)
で、これまでずっとやりたかったコーヒー焙煎について、道具もそろえたということで、ようやく念願の焙煎をやってみようということになりました~
自分で焙煎したコーヒー豆と、コーヒーがどんなのになるのか、不安でもあり楽しみでもあります(*^^*)
道具
まずは、道具ですが、8coffeeさんの焙煎スターターキットを購入しました。
まずは、自分の手で、自分の感覚で焙煎してみたかったので、手煎り用の道具を選択しました(^^)/
セット内容は、焙煎用の煎りパン(網のフタつき)と生豆3種類(各50グラム)です。
煎りパン
小さくてシンプルでかわいいです。取り扱いもしやすそうですね。
生豆3種
豆の種類は上から、グァテマラSHB、ブラジルサントスNO.2、コロンビアSPの3種類です。
セット内容はとってもシンプル。中には、豆ごとの情報(豆カルテ)と焙煎方法の手引きが同封されていました。
まずは、その手引きを見ながら挑戦してみたいと思います♪
いざ焙煎!!
さて、いよいよ焙煎に取りかかりたいと思います。
コーヒーに興味を持ちはじめて、ようやくここまでたどり着いたって感じで、とっても楽しみです(*^^*)
生豆の写真です。
なるほど~、少し緑がかっているんですね~
すこ~し小さかったり、いびつなものもあり、本当だったらハンドピックで取り除くんでしょうけど、今回はまずはやってみることが第一の目的のため、そのまま焙煎していきたいと思います!
豆は、グァテマラSHB、25グラムからやってみます。
煎りパンに生豆を投入~
焙煎前はこんな色合いです。さてうまくいくでしょうか?
まずは、中火でコンロから20センチほど離して5分ほど加熱します。生豆の水分を抜くための作業のようです。
焙煎しながらの写真撮影は難しかったので、撮れなかったのが残念です(^^;)
5分加熱後の豆の状態です。少し黄色みがかっていますね。
1度か2度ほど、パチッというはぜる音がしたので、その時はコンロから離してハゼを抑えました。
5分加熱後、次はパンをコンロ15センチほどに近づけて、加熱。
火が全体に行きわたるように、パンを振りながら行っていきます。
よしよし(^^)/、豆の薄皮(チャフ)がはがれてきています。
少ししたら(2~3分)、おお~、1回目のハゼのはじまりです!
パチパチとはじける音が気持ちよくし始めます。
そうすれば少しパンを火から離して様子を見ます。
ハゼが始まって2分ほど煎りました。
この時点で、本当なら浅煎り~中煎りになっているはずなんですが・・・
色ムラもあるし、焙煎も足りない感じですね~
難しいなぁ(´ー`)
グァテマラは中深入りくらいまでしたいと思っていたので、さらに焙煎をすすめました。
パチパチと連続してハゼが起こります。2回目のハゼですね。
煙も多くなってきました。
でも、思っていたほど匂いは出ない感じですね。その点は良かったです。
焙煎終了です。
ちょっと焙煎しすぎてしまいましたね~(^-^;
真っ黒です。これは中深煎りではなく、フレンチローストかイタリアンローストくらいでしょうかね~
見た目ほとんど炭状態になってしまいました~
ま、はじめてだし、こんなもんでしょう(*^^*)
淹れてみる
さて、焙煎した豆の熱をとって、それからしばらく寝かした後、いよいよ淹れて飲んでみることにしました。
本当は1日2日置いてからの方がいいそうですけど、それよりも早く飲んでみたい!、という気持ちには勝てませんでした(^-^;
豆はやっぱり炭のように真っ黒です。
香りもコーヒーのいい香りはほとんどしません。
はたして、これがほんとにコーヒーになるんでしょうか? ちょっと不安です。
不安のなか、豆を挽いてみると、突然コーヒーのいい香りが広がりだしたんです!
おおお~!! これにはテンションが一気に上がってしまいました(^^)/
お湯を注ぎます。
おおお!! さすが焙煎したて!!
豆がお湯を含んでもりもり膨らんでくるじゃありませんか~(写真ではわかりにくいけど(^-^;)
ここでもテンション上げ上げです(^^)
蒸らしのあと、さらにお湯を注ぎます。泡が出てきて、いいコーヒーの予感が増してきます。
やったー! 完成です~
なんとか、コーヒーらしく出来上がりましたね~
感想
焙煎、とても面白かったですね。
心配していたチャフもそれほど散らばらず、匂いもそんなに出ず(あとで妻に聞いたらだいぶ匂いは出てたそうですが(^^;))、良かったです。量が少なかったということもあるでしょうけど、これなら家のコンロで十分できそうですね。(量が多くなれば、戸外とかでやらないといけないかもですが)
出来上がりのコーヒーの味も、思いのほか良かったですね。
豆のできが真っ黒だったので、どこか焦げたというか、炭に近い味もしたけど、自分が初めて焙煎した豆から淹れたコーヒーだと思えば、愛おしくて、おいしいですね。
焦げたような香りもアクセントというかご愛嬌って感じで、よしとしますか(*^^*)
ちなみに、豆は生豆で25グラムでしたが出来上がりは20グラム強になっていましたね。なので、20グラムで300ccのコーヒーを淹れました。
いやー、コーヒーの焙煎、これはいいかも!!
また新しい世界が開けました。
これから、もっと挑戦と研究をして、もっとうまく焙煎できるようになりたいですね(^^)/
ではまた~☕
映画『怪物はささやく』~人間の心の矛盾を描いたダーク・ファンタジー
こんにちわ。
コロンボです。
おとぎ話のようなファンタジー映画は、どちらかというとぼくの好みではないんですが、この映画はそんなやさしいだけのファンタジーとは一味違う、ということもあって見てみました。
『怪物はささやく』です。
基本情報
- タイトル 怪物はささやく
- 原題 A MONSTER CALLS
- 製作 2016年 109分 アメリカ、スペイン
- 監督 J.A.パヨナ
- キャスト ルイス・マクドゥーガル、シガーニー・ウィーヴァー
- ジャンル ファンタジー、ホラー
ストーリーと感想
少年コナ―(ルイス・マクドゥーガル)は、なぜか毎晩母親が地面の裂け目に落ちていくという悪夢を見続ける。
母親は重病を患い、父親は離婚して別の家族と生活し、母方の祖母(シガーニー・ウィーヴァー)とは気が合わない。加えて学校では同級生にわけもなく殴りつけられる。
人間は矛盾だらけで難しい。自分の本当の気持ちさえわからない。
自分を取り巻く複雑な世界で、自分はいったい何を望んでいるのかもわからない複雑な心と闘う少年コナーは、ある夜、イチイの木の怪物(モンスター)を作り上げるのだ。
怪物は3つの物語を語り、4つめはお前の物語を語れ、という。
複雑な環境の中、コナ―は自分の居場所を見いだせず、
自分が一体何者なのか?
自分の真実の気持ちが何なのか?
そんな想いにもがくことで、彼はモンスターを作り上げたのだ。
怪物は3つの物語の中で、世の中の矛盾や複雑さを語る。そして、ついにコナ―が物語を語る番となるのだ。
はたして彼の抱える真の物語は何なのだろうか?
その時になって、彼は初めて自分の内側にあるものを見つけ出すのである。
コナ―を演じる、ルイス・マクドゥーガルがとてもよい。
少年の複雑な想いと、母に対するシンプルな想いが、最後に強く、あふれるように伝わってくる感動作だ。
映画『ウインド・リバー』~アメリカ社会に巣くう人種差別の闇に光をあてる作品。
こんにちわ。
コロンボです。
今回は、アメリカのワイオミング州にある先住民居住区ウインド・リバーを描いた作品、『ウインド・リバー』の紹介です。
基本情報
- タイトル ウインド・リバー
- 原題 WIND RIVER
- 製作 2017年 アメリカ 107分
- 監督 テイラー・シェリダン
- キャスト ジェレミー・レナー
- ジャンル サスペンス、社会
ストーリー
アメリカ、ワイオミング州。先住民族が住む深い雪に囲まれたウインド・リバーで、地元のベテランハンターであるコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)が女性の遺体を発見する。FBIの新人捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)が派遣され、1人で捜査を開始するが雪山の厳しい自然環境や不安定な気候で難航する。ジェーンは、ウインド・リバー一帯に詳しいランバートの手を借りて調べを進めていく。
感想など
いろいろと映画を見ていると、普段知ることのない社会の闇を見ることがある。
華やかな世界とは正反対の世の中。
貧困問題、格差、人種差別など。
この映画『ウインド・リバー』では、アメリカの白人社会(あえて白人社会という)に虐げられながら生きる先住民、ネイティブアメリカンの問題を取り上げている。
元々アメリカの地に住んでいたネイティブアメリカンにとっては、今の自分たちの置かれている立場はとんでもないものだろう。自分たちが白人に迫害され、虐げられていることは大きな屈辱であることは間違いない。
土地を追われ、わずかな居住地に住まわさせる彼らは、そんな白人の世の中でも誇りを持って生きているのだが、しかしながら先祖から引き継いできた彼らのしきたりや伝統さえ、次第に消えかかっているという事実はとても悲しいものである。
物語は、ネイティブアメリカンの若い女性が殺害されるというサスペンスの要素を含みながら進められていくが、実際のところそのサスペンス自体はさほど深い謎はない。
それよりも、白人に対する強くて深い憎しみを非常に強く訴えてくるのだ。
また、舞台が深い雪に囲まれた凍てつくような世界であり、そのことがこの映画の、そして先住民の生活の閉塞感を非常によく表している。その雪山の映像を見るだけで、なんとも言えない絶望を感じるのだ。それこそがまさに先住民の絶望なのだ。
最近では、白人警官が黒人を死なせてしまったという悲しい事件を受けて、アメリカでは差別問題の火が再燃してきている。
しかし、差別は黒人に対してだけにとどまらず、ネイティブアメリカンや、もちろん東洋人にまで包括する問題だ。
アメリカにおける人種差別の問題は、とても根深い問題なのだろう。
この映画も、ネイティブアメリカンに対する差別を、非常にセンセーショナルに描いていて、アメリカの問題点を改めて知ることになった。
ただ、このようなストーリーであったとしても、事件を解決し、ヒーローとなるのはやはり白人なのだよなぁ。そのあたりはどうしても矛盾を感じてしまうのだが・・・
なんでやねん!!って。
ではまた~☕
映画『タリーと私の秘密の時間』~最後にわかる驚きの事実。
こんにちわ。
コロンボです。
今回は、2018年のアメリカ映画、『タリーと私の秘密の時間』の紹介です。
基本情報
- タイトル タリーと私の秘密の時間
- 原題 Tully
- 製作 2018年 アメリカ 95分
- 監督 ジェイソン・ライトマン
- キャスト シャーリーズ・セロン
- ジャンル ドラマ
シャーリーズ・セロン演じるマーロは女の子と男の子の母親だ。そして3人目を妊娠中。息子のジョナが学校になじめず、知的障がいの疑いもあり、子育てがとても大変で気分も常にイライラしている状態。
というのも、彼女は人に頼ることが苦手な性格なのだ。
そんな中、3人目の女の子が生まれる。そこで兄の勧めもあって、ナイトシッターという夜にだけ子守りをしてくれるタリーという女性を雇うことにしたのだが・・・
アメリカ映画などを見ていると、家族でバーベキューをしたり、母親はミートパイを焼いたりと理想的な家庭像が描かれることが多いけれど、やはりアメリカでもどこでも、子育て世代の親はとっても大変なのだとよくわかる。中でも専業主婦や育児休業中の母親は、仕事という逃げ場がないため、特に大変だ。
家事のこと、子どもの世話などを一人で背負わなくてはならない。
もうそうなれば、若いころの夢なんてどこにいった? てな具合になってもおかしくない。
育児に悩み、しかも誰にも頼ることをしないマーロは、思い切って夜の間だけ子守りをしてくれるベビーシッター(ナイトシッター)を雇うことにした。
やってきたナイトシッターは思いのほか若い女性、タリー。
彼女は完璧で、マーロのことをよく理解し、またマーロととても気が合う女性だった。タリーの言葉はマーロの心に心地よく響き、彼女を優しく包み込むようにさえ思える。そして、彼女のおかげで夜もよく眠れるようになる。
実際、彼女が来てからというもの、マーロの表情は明るくなり、家族にも目に見えて優しく接するようになってくるのである。
しかし、タリーとマーロの間には思いもかけない秘密があったのだ。映画の途中にも、どうもおかしいな、と思える場面があったのだが、その秘密が判明すればすべて謎が解けるのだ。
その事実は、非常に驚きで、それまでのストーリーをごっそり覆してしまうほどのものなのだ。だが、それによってマーロに語りかけられたタリーの言葉はまた新たな重みと意味合いをもって輝きだすのである。
シャーリーズ・セロンの役作り
最後に、シャーリーズ・セロンのことに軽く(本当に軽~く)触れておきたい。
この映画で、主演のシャーリーズ・セロンは役作りのため20キロ以上も体重を増やしたようだ。
シャーリーズ・セロンと言えばとても魅力的な女優であるが、その役作り(いや役者魂と言ってもいい!)にはすごいものがあると僕は勝手に思っている。
過去の彼女の映画でも(タイトルは忘れてしまった(^^;))、彼女は体重をふやしていたし。また2015年の映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では髪を丸坊主にして、すごくかっこいい女性戦士を演じていたりする。
外見はもちろんだが、彼女の雰囲気のようなものも、映画によってまるで違って見え、下手をすれば途中まで映画の中の女性がシャーリーズ・セロンと解らないことだってある(ほんとに!)。
そして、映画ごとに体型を変えるそんな彼女を見ながらぼくは、果たして彼女の健康は大丈夫なのか? と、勝手に心配してしまうのだ・・・(^^;)
そんな彼女が役者魂を発揮したこの『タリーと私の秘密の時間』は、リアルなアメリカ(子育ての苦労に国境はない!)を、実際に痛みを感じるくらいに丁寧に描いている、そんな映画になっている。
映画『500ページの夢の束』~この一歩は人類にとっては小さな一歩かもしれないが、彼女にとっては偉大な飛躍である
こんにちわ。
コロンボです。
さて、今回は2017年のアメリカ映画『500ページの夢の束』の紹介です。
基本情報
- タイトル 500ページの夢の束
- 原題 PLEASE STAND BY
- 製作 2017年 アメリカ 93分
- 監督 ベン・リューイン
- キャスト ダコタ・ファニング
- ジャンル ヒューマン、ドラマ
この映画は、自閉症スペクトラムの女性の物語。ウエンディは母を亡くし、姉と二人で生活をしてきたが、姉が結婚をし、妊娠したことを機に施設で生活することになる。彼女の好きなものは、アメリカの人気SFシリーズ「スタートレック」。
施設で規則正しい生活を送りながら―――毎日決まった日課をこなし、アルバイトをし、テレビを見る―――スタートレックの脚本コンテストに応募するために脚本を書き続ける。
しかし、実のところ彼女はその安定した生活には満足しておらず、本当は家族と一緒に過ごしたい、という思いを心に強く秘めていた。
主演は、ダコタ・ファニング。ダコタ・ファニングと言えば、かつて天才子役として名をはせた女優で、ぼくも彼女の少女時代の作品は3作ほど見ている。
まずは、2002年の「TAKEN」というSFテレビドラマ。これは、宇宙人に誘拐されるというドラマで、彼女が8歳の時のものだが、その時から彼女の演技は圧倒的であったのを記憶している。
次に見た作品は、ショーン・ペンの娘として演じた2001年の「I am Sam」。発達的に障がいのある父親との愛情あふれる物語で、彼女の子供らしい魅力がたっぷりの映画だ。ストーリーも感動的で、ぼくの大好きな作品のひとつでもある。
そして3本目は、2005年にトム・クルーズと共演した「宇宙戦争」。かなりメジャー作品であるが、この中でも、彼女は11歳とは思えないくらいの迫真の演技を魅せた。
しかし、そのあとぼくは彼女の映画を観る機会がなく、今回も見終わってから初めて主演のウエンディがダコタ・ファニングだと知ったのだ。それくらい彼女は大人になっていなのだけれど(当たり前だが(^^;))、一方ではなるほどな、と妙に納得してしまった。というのも、この映画はどちらかと言えば小品で、ストーリー的にも小さな山場がいくつかあるけれども大きな山がドカンとあるわけでもなく、比較的静かに進む映画なのだけれど、それでも不思議に魅力があって、かつ感動を覚えてしまったからだ。
これには、ダコタ・ファニングの力が大きく貢献していることは間違いないだろう。
この映画の見どころは、彼女が書いたスタートレックの脚本を、施設を抜け出して遠く離れたロサンジジェルス(パラマウント社)に持っていくところだ。
大きな道路の信号ひとつ渡れなかった(わたってはいけないと言われていた)彼女が、勇気を出して一歩を踏み出すのだ。
そして、道中にいろんな事件や出来事、災難に遭遇しながらも、めげずに進み続けるのだ。
そして、自閉症スペクトラムの彼女に対して、世の中はそうそう甘くない。むやみに優しい理解のある人間が出てきたりしないのだ。その点がリアルなのである。
また、あまりにも思いがけない事件が起こりすぎて、かえって笑えてしまうのだ。
彼女がスタートレック惹かれるのは、そこには様々な個性のキャラクターがいるからかもしれない。中でも彼女が最も興味を持っているのが「スポック」なのである。彼はバルカン星人と地球人の間に生まれた人種で、感情を持たない。
もしかしすれば、感情を持たないというそんな彼に、人に理解してもらいにくい自分を重ね合わせていたのかもしれない、と思うのだ。
しかしながら、この映画の中では自閉症スペクトラムというのが大きな要素となって描かれてはいるが、実際のところは誰であってもいろんな個性を持ち、得意不得意なところがあるのが現実で、そういった面からするとこの映画は彼女のような存在だけではなく、べての人に当てはまるテーマではないのか、と思うのである。
そして、日本語のタイトルでは『500ページの夢の束』とあるように、日本では彼女が書いたスタートレックの脚本が無事パラマウント社に届くのか、というところに重きを置いているようだが(もちろんその要素も大きいのだが)、本当の意図は実は違うところにあるのではないか、とぼくは思う。
それは、原題の『PLEASE STAND BY』によくあらわされているのだ。
彼女が本当に求めているものは何なのか?
彼女が脚本を書く本当の理由は?
脚本を本当に見せたい人は誰なのか?
そこがこの映画の主題であると思うのだ。
この日本語のタイトルは、キャッチ―で面白そう、と感じさせてくれるけれど、映画の本当に伝えたいことをうまく伝えられていないのでは(この映画では特に)と思ってしまった。
とはいえ、観てしまえばタイトルに関係なく感動を覚えるのは間違いないだろう。ダコタ・ファニングの魅力と演技力、そしてスタートレックへのオマージュというスパイスも非常によく効いている、とてもいい作品だった。
ではまた~☕
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金言がいっぱい!!『上野千鶴子のサバイバル語録』は、勇気のでる言葉の宝庫です。
こんにちわ。
コロンボです。
本を読むのは人との出会いに似ている。
いい人もいれば嫌な人もいる、面白い本もあればそうでない本もある。読んでみないとどんな本かは分からないし、人気がある本だからと言って決してそれが自分にとって面白い、いい本であるとも限らない。
人との出会いも、本との出会いも偶然の要素が多分にあって、いい本に出会えばその作者の本をもっと読みたくなって、作者のことをもっと深く知りたくもなる。
最近は、あまりいい本や作者に出会えていなかったのだが、上野千鶴子氏の本『上野千鶴子のサバイバル語録』は久しぶりに出会えたいい本で、非常に面白く、そして興味深い本であった。
上野千鶴子氏といえば、フェミニズムやジェンダー論などで研究者、教授として有名だが、平成31年度(2019年度)の東京大学の入学式での祝辞は、共感や反発など賛否両論の意見を生むなど、大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。
東京大学HPより
祝辞の動画
彼女の著作はたくさんあるが、この『サバイバル語録」は彼女の考えていること、思想のエッセンスを抽出したような一冊になっている。
女性としての生きにくさ、女性としてどう考えて生きていくべきかを、時に厳しく、時に優しい愛情をもって語っている。そしてそれは同時に、男性に対しても非常に強いメッセージとなっているのである。
ちなみに、ぼくが勤める職場の上層部の人間を数えてみると、ほとんどが男性である。組織も古くて、しょうもないルールがはびこっていて、そしてそのルールは基本的に男性本位で作られているのだ。
一つ例を挙げると、
著者は、
『男は女に選ばれることよりは、同性の男から「おぬし、できるな」と言われることが最大の評価と捉えている』、という。『男があれほど仕事に熱中するのは、「妻子を養う」ためでも「会社以外に居場所がない」ためでもなく、パワーゲームで争うのがひたすら楽しいからにちがいない、とわたしはにらんでいる』
と書いている。(実際の文章通りではありませんが)
男性のためにつくられたルールで女性が活躍していくには、非常なエネルギーが必要なのである。男性は(全員ではないが)、仕事だけしていればいいが、女性は仕事をしたうえでなおかつ家事もしなくてはならない。初めからハンディつきなのである。
本当に男女平等の社会にするためには、働き方も変えていかなくてはいつまでたっても女性の大変さは変わらないのである。
そして僕自身も、自身は男性ではあるのだけれど、男性の作り上げた社会の中で生きていくのは、しんどいな、と感じている一人である。仕事だけに生きる時代は変わり、多様な価値観が生まれてきている今の時代にあっては、これまでの男性が作り上げてきた社会構造や働き方は変わらなければならない、と感じたのだ。
上記のような内容以外にも、この本は上野氏の様々な著作やエッセイ、対談や講演の中から、140の彼女の言葉をチョイスしてくれている。
第1章 「人生」のサバイバル語録
第2章 「仕事」のサバイバル語録
第3章 「恋愛・結婚」のサバイバル語録
第4章 「家族」のサバイバル語録
第5章 「ひとり」のサバイバル語録
第6章 「老後」のサバイバル語録
第7章 「女」のサバイバル語録
第8章 「未来」のサバイバル語録
一つ一つの語録は、短いのでは1行、長いのでも数ページのボリュームである。なのでととも読みやすいのも特徴だ。
すべてが金言のようで、読んでいてなぜか、とても勇気の出る言葉が詰まっているのである。それは著者の生きてきた経験と、彼女の寛容さ、そして優しさを感じる文章だからこそ、余計にそう感じるのかもしれない。
この本を読んで、彼女のファンになってしまった。
ではまた~☕
エイリアン前史『プロメテウス』と『エイリアン コヴェナント』。人類の起源とエイリアンの誕生の秘密に迫る?! そして更なるストーリーは?
こんにちわ。
コロンボです。
1979年に製作されたSF映画「エイリアン」は、衝撃でしたね。
エイリアンの姿の恐ろしさ、不気味さは何にもまして圧倒的で、あのフォルムがあってこそのヒットといっていいくらい、衝撃的な迫力がありました。
そして、タフな女性シガニー・ウィバーが印象的でしたが、この映画は、それだけじゃなく心理的なサスペンス的な要素もあって、映画としてとてもよくできているとも思います。
エイリアン作品の時系列
エイリアンは、この第1作目を皮切りに、全部で6つのストーリーが映画になっています。
時系列的に並べていくと次のようになります。
作中の年代 | タイトル | 公開 |
紀元前32億年 〜西暦2094年 |
『プロメテウス』 | 2012年 |
西暦2104年 | 『エイリアンコヴェナント』 | 2017年 |
西暦2124年 | 『エイリアン』 | 1997年 |
西暦2159年 〜2179年 |
『エイリアン2』 | 1986年 |
西暦2270年 | 『エイリアン3』 | 1992年 |
西暦2470年 | 『エイリアン4』 | 1997年 |
※その他にも、 『エイリアンvsプレデター』(2004)なんてのももありますけどね。
そんな中で、エイリアンはいつどこで誕生したのか、何のためにこんなに強力な生物が生まれたのか。
その謎に迫るのが、2012年に製作された 『プロメテウス』とその10年後を描いた 『エイリアンコヴェナント』です。
人類誕生の謎、エイリアン誕生の秘密
『プロメテウス』は、一昨目のエイリアンの約30年前、西暦2094年の設定。
冒頭は紀元前32臆年前、人類の祖先が地球に遺伝子を遺すかのような、壮大なスケールのシーンから始まります。
このシーンだけでもこの映画の期待感は高まります。
そして、 『プロメテウス』のキーを握るのが、アンドロイドのデヴィッド。
デヴィッドが何を企んでいるのか、人間に従順でありながら、その裏で何を考えているのか分からないところが、不気味であり、ストーリーの鍵でもあります。
そして、彼の意志は続編である 『エイリアンコヴェナント』に引き継がれます。
プロメテウスでは、人類の起源に迫り、またエイリアンを人類の祖先らしき巨人が生み出したということがわかります。
しかし、その祖先の行動には疑問も残ります。なぜ、人類を誕生させ、またなぜ滅ぼそうとしているのか。
その謎を探る旅にでる、という形でコヴェナントに続きます。
コヴェナントでも謎は残ったまま
ところが、コヴェナントでは、ストーリーはまるで違った方向に進んでしまいます。
プロメテウスで残った疑問はまるで解明されないままで終わるのです。
ストーリー自体は面白いんですか、少しSFの要素が少なくなっていて、どちらかといえばホラー的な色彩が強くなってしまっているのが、個人的には残念でした。
更なるストーリーに期待したい
プロメテウスで壮大な疑問を投げかけて、そしてコヴェナントでは若干消化不良で終わってしまった、 『エイリアン』前史を描いたこの2作品。
やはり、大いなるミステリー、人類の祖先の謎とその野望とは?そしてエイリアン誕生の秘密についてはとことんまで追求してもらいたいところです。
コヴェナントの続編は、あるともいわれてるし、また中止になったとも言われてますが、いち映画ファン、いちエイリアンファンとしては是が非でも続編を作っていただきたいと願います。
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古典インクのブルーブラックを使ってたペリカンの万年筆。インクフローが悪くなってたので、アスコルビン酸(ビタミンC)で洗浄してみた!
こんにちわ。
コロンボです。
ぼくは長年、ペリカンの万年筆を愛用しています。
ペリカンのスーベレーンM400で、どちらかといえば小ぶりの万年筆。
ほかのサイズや、ほかのメーカーのも欲しいとは思っているんですが、今のところみどり縞と青縞の2本を使っていますね。(職場の手軽使いにはパイロットのコクーンを使ってますが)
用途は主に、日記の記入用です。
ちなみに緑縞のほうは、ペン先はFニブ(細字)、主にロイヤルブルーのインク使用。
青縞のほうは、ペン先がEFニブ(極細)で、主に古典インクのブルーブラックを使っていました。
しかし、いつからか青縞の方の書き味がとても悪くなって、カリカリ感が強く、またインクフローも悪くなって来ていたんです。
しばらく使わなかったことがあって、もしかしたらそれが悪かったのかもしれないな、などと思いながらだましだまし使用していたんですが、ある時、
古典インクは固まったらインクフローが悪くなることがあると知ったんです。
そして、その洗浄には、アスコルビン酸(ビタミンC)を使う必要があるとのこと。
もしかしたら、これで書き味も改善するかもしれない! ということで早速試してみることにしました。
アスコルビン酸というのは、いわゆるビタミンCのことらしい。
とりあえずアマゾンで調べてみると、いくつか出てきましたが、どれも添加物や栄養補助食品のビタミンC。でもそれでいいのだそうだ。
でも、ドラッグストアでも普通に売っているそうなので、とりあえず近所のドラッグストアに行ってみました。
ところが、ドラッグストアで売っているビタミンCはほとんどが錠剤。
こりゃダメだ、、、
と思っていたところ、ひとつだけ粉末のやつがありました。
それが、井藤漢方製薬のビタミンC1200です。
薬局で400円前後値段も安い。
ただ、これは完全なる食品で、砂糖などいろんなものが混ざってます。
大丈夫だろうか、効果あるんだろうか、などと疑問に思いながらも、とりあえずこれしかないんだから仕方がない、ダメならダメでまた別ので試したらいいや! って感じでやってみることにしました。
中身はこんなスティック状。これを直接口に入れるタイプなのだそうですが、今回は万年筆洗浄の為なので、水に溶かします。
ちょっと水が多すぎたかな、と思いましたがまぁいいでしょう(^^;)
万年筆からインクをすべて出して、まず水道水できれいに洗い流しました。
それを、ビタミンC液につけます。
液の中で軽くペン先を洗うように振って、あとはそのまま放置です。
とりあえず、24時間ほど放置しました。
写真では液が若干緑がかっているように見えますが、実際はそんな感じではなかったように思います。
とりあえず、ペン先はとてもきれいになってます。期待がふくらみます(* ^^ *)
ビタミンC液から出した後、水道水で軽く流し、次は水道水につけました。
それから数時間がたったころ、もう大丈夫だろうと思って、水道水からも取り出して、しっかりとティッシュで水分を拭き取りました。
そして、いざ、ブルーブラックのインクを入れて試し書き。
さて、どうでしょうか〜?
なんということでしょう、インクフローは改善されて、書き味もかなりスムーズになっていました〜(* ^^ *)
まさによみがえった感じです!!
純粋なアスコルビン酸(ビタミンC)じゃなかったのでどうだろうかと心配しましたが、効果に問題なかったみたいです!
やったね!
正直なところ、書き味悪いし、いっそのこと新しいのに買い換えた方がいいのかなぁなんて考えてもいたので、ほんと生き返ってくれてよかったです!お気に入りの万年筆だしね(^^)/
ではまた〜☕
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