金言がいっぱい!!『上野千鶴子のサバイバル語録』は、勇気のでる言葉の宝庫です。
こんにちわ。
コロンボです。
本を読むのは人との出会いに似ている。
いい人もいれば嫌な人もいる、面白い本もあればそうでない本もある。読んでみないとどんな本かは分からないし、人気がある本だからと言って決してそれが自分にとって面白い、いい本であるとも限らない。
人との出会いも、本との出会いも偶然の要素が多分にあって、いい本に出会えばその作者の本をもっと読みたくなって、作者のことをもっと深く知りたくもなる。
最近は、あまりいい本や作者に出会えていなかったのだが、上野千鶴子氏の本『上野千鶴子のサバイバル語録』は久しぶりに出会えたいい本で、非常に面白く、そして興味深い本であった。
上野千鶴子氏といえば、フェミニズムやジェンダー論などで研究者、教授として有名だが、平成31年度(2019年度)の東京大学の入学式での祝辞は、共感や反発など賛否両論の意見を生むなど、大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。
東京大学HPより
祝辞の動画
彼女の著作はたくさんあるが、この『サバイバル語録」は彼女の考えていること、思想のエッセンスを抽出したような一冊になっている。
女性としての生きにくさ、女性としてどう考えて生きていくべきかを、時に厳しく、時に優しい愛情をもって語っている。そしてそれは同時に、男性に対しても非常に強いメッセージとなっているのである。
ちなみに、ぼくが勤める職場の上層部の人間を数えてみると、ほとんどが男性である。組織も古くて、しょうもないルールがはびこっていて、そしてそのルールは基本的に男性本位で作られているのだ。
一つ例を挙げると、
著者は、
『男は女に選ばれることよりは、同性の男から「おぬし、できるな」と言われることが最大の評価と捉えている』、という。『男があれほど仕事に熱中するのは、「妻子を養う」ためでも「会社以外に居場所がない」ためでもなく、パワーゲームで争うのがひたすら楽しいからにちがいない、とわたしはにらんでいる』
と書いている。(実際の文章通りではありませんが)
男性のためにつくられたルールで女性が活躍していくには、非常なエネルギーが必要なのである。男性は(全員ではないが)、仕事だけしていればいいが、女性は仕事をしたうえでなおかつ家事もしなくてはならない。初めからハンディつきなのである。
本当に男女平等の社会にするためには、働き方も変えていかなくてはいつまでたっても女性の大変さは変わらないのである。
そして僕自身も、自身は男性ではあるのだけれど、男性の作り上げた社会の中で生きていくのは、しんどいな、と感じている一人である。仕事だけに生きる時代は変わり、多様な価値観が生まれてきている今の時代にあっては、これまでの男性が作り上げてきた社会構造や働き方は変わらなければならない、と感じたのだ。
上記のような内容以外にも、この本は上野氏の様々な著作やエッセイ、対談や講演の中から、140の彼女の言葉をチョイスしてくれている。
第1章 「人生」のサバイバル語録
第2章 「仕事」のサバイバル語録
第3章 「恋愛・結婚」のサバイバル語録
第4章 「家族」のサバイバル語録
第5章 「ひとり」のサバイバル語録
第6章 「老後」のサバイバル語録
第7章 「女」のサバイバル語録
第8章 「未来」のサバイバル語録
一つ一つの語録は、短いのでは1行、長いのでも数ページのボリュームである。なのでととも読みやすいのも特徴だ。
すべてが金言のようで、読んでいてなぜか、とても勇気の出る言葉が詰まっているのである。それは著者の生きてきた経験と、彼女の寛容さ、そして優しさを感じる文章だからこそ、余計にそう感じるのかもしれない。
この本を読んで、彼女のファンになってしまった。
ではまた~☕