野崎まど氏著のSF小説『タイタン』~神話の世界のような壮観な物語。
こんにちわ。
コロンボです。
本も映画もいろんなジャンルを楽しむ方なんですが、今回は日本のSF小説『タイタン』を読んだので、紹介したいと思います。
著者は野崎まど氏、2020年4月講談社より発行。386ページ(単行本)
まずは、講談社BOOK倶楽部による『タイタン』の紹介文から引用です。
今日も働く、人類へ
至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。
この紹介文を読んで、まずその世界観に惹かれてしまいました。日本のSFは往々にして小さな世界にとどまってしまうきらいがあるという印象を持っていたんですが、この小説はスケールも大きそうで、またAI技術の発展した人類のまだ経験したことのないような未来を描いているようで、私の渇いた想像力と好奇心をどう満たしてくれるんだろう、ととても大きな期待を抱いてしまったんですよね。
これは読んでみたい!と。
で、実際読んでみたところ、その読みやすさもさることながら、私はその文体にも好感が持てました。
何を読むにも、文体が好みでなかったら読んでいても楽しくならないですからね、そこは大事です。
で、AIが進歩して人間がもう働かなくてよくなった時代という世界観もしっかりと描かれているし、ストーリー展開も予想ができない展開でとても面白い。
この小説で常に問われているのは、
仕事とは一体何なのか?
です。
AIであるタイタンが世界に12基存在し、そのうちの1基「コイオス」という名のタイタンが、仕事というものに疑問を持ち、精神疾患のような状態に陥ってしまうところからこの物語は始まっていくのです。
主人公の内匠成果とコイオスが、対話を通じて仕事とは何なのか?、働くとは何なのか?の探求していくんです。
内匠成果にとっては生まれて初めてする「仕事」であり、彼女は働くにつれて仕事をする喜びにも気づいていきます。
よくあるような、AIが自我を持ち始めて、人間に対しての脅威になっていくようなストーリーではなく、ちょっと意表を突かれるような視点が面白かったですね。
そして、1000メートルを超える大きさの「コイオス」が立ち上がるシーンは規格外のスケールで非常に衝撃的ですし、とてもビジュアル的でもあります。
また、2体のタイタン「コイオス」と「フェーベ」が立ち並ぶところなんて、想像するだけで壮観です。
この世のものではないかのよう、まさに「神話の世界」、「神々の降臨」のようです。
内匠成果と悩めるコイオスは、物語の最後にいったい何を見つけるのでしょうか。
「コイオス」がもう1体のタイタン「フェーベ」と出会い、彼女?との対話の末に得るものは?
その対話のシーンも実は見ものです。
結末は、
予想外であり、期待を大きく上回っていて、
思わず、そう来たか~、とうなってしまうものになっていました。
最後まで期待を裏切らない、いやいい意味で期待を裏切ってくれる作品『タイタン』でした(*^^*)
ではまた~☕
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