朝井リョウの短編集「何様」を読む
こんにちわ。
コロンボです。
今回、朝井リョウの短編集「何様」を読みました。
朝井リョウは、1989年年生まれの若手作家。
現役大学生時代にデビューして以来、どんどん頭角を現している作家だが、ぼくは今回初めて彼の作品を手に取って読んでみた。
「何様」
まずタイトルに惹かれた。タイトルだけでいったいどんな物語が書かれているんだろうととても想像力を膨らますことができた。
中に収録されている作品を挙げると、次の6作品になる。
- 水曜日の南階段はきれい
- それでは二人組を作ってください
- 逆算
- きみだけの絶対
- むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった
高校生の物語から社会人の物語まで、どちらかと言えば若い世代の人々を中心に描いている。
タイトルからして、世の中を斜に構えてみているかのようなストーリーを想像するかもしれないが、決してそうではない。かといって、真正面から捉えているのでもない。
言ってみれば、非常に独特な視点で捉えているのだ。しかもとても鋭い感性を持ってだ。
もしかしたら好き嫌いがはっきりと分かれる作家かもしれない。ぼく自身、この「何様」を読んだだけでは、どうも手放しで気に入った! という感じにはならなかった。
シニカルなのかと思えばそうでもなく、彼の作品はどれも見事なまでの変化球で攻めてくるので、それぞれの作品をどのようにとらえたらいいのか、そこがまだよくわからないというのが本当のところだ。
しかし、非常に惹かれるものがあったのも確かだ。
「何様」は、独特の鋭い、そして繊細な感性で書かれているだけではなく、ストーリーの構成もユニークだ。これが朝井リョウの持ち前の個性なのかもしれないし、もしかしたら緻密な計算によるものなのかもしれない。
そのうまさに対して、「う~ん」と感心してうなってしまうのだけれど、しかし、そこが逆に(古い人間である)ぼくの心には若干の抵抗感を感じさせたのかもしれない。
ただ、彼の独特の視点から書かれる主人公の心情には、どうしてもいつかの自分と共通するものがあるのだ。共感をしてしまうのだ。だから魅力を感じてしまうのだろう。
新しい感性を見つけた! そんな喜びを得た一冊だった。
ではまた☕