小説『ニムロッド』その世界には、どこか不思議な魅力を感じる。
こんにちわ。
コロンボです。
今は、主にスティーヴン・キングの「IT」を読んでたんですが、「IT」の2巻と3巻の間に、少し目先を変えて、上田岳弘氏の『ニムロッド』を読みました。
2019年、第160回芥川賞受賞作品。
著者は上田岳弘氏。
ストーリー
ニムロッド。タイトルからして謎。でもなんか面白そうな響きを持っている、そんな期待を持たせるこの小説。
ストーリーは、コンピューターシステム会社に勤める会社員、中本哲史がビットコインを採掘?する部署の課長に任命されるところから始まります。
そして、彼と彼の恋人、そして彼の先輩(=ニムロッド)との不思議な関係性の物語。
描かれている世界は、現実と虚構の2重構造の世界で、どちらも不思議な魅力を含んでいて、少しSFの要素も含んでいます。
現代的でもあり、厭世的でもあり、哲学的でもある、そんな小説。
こう書いてもおそらくまるで伝わらないでしょうかね?
とにかく、ストーリーを説明するのが非常に難しい小説なんです。
それでいて、とても面白く読める本でもあるから不思議です(^-^;
感想など
この小説のトーンは、基本的に単調なんですが、それでもどこか読ませる力を持っているんです。おそらくこの文体と、作者の力量がそうさせているのだろうと思います。
例えていうなら、小さいけれどとても性能の高いエンジンを積み込んだ小型車、のような感じですかね(逆にわかりにくい?(^-^;)
特別な派手なストーリ展開はないんですが、それでもリズミカルに着実に読み進められる本なんです。
そして、何より読みやすい。読みやすさというのは、ぼくは大事だと思っているんですね。
「読みやすい=中身がない」ではないですし、「読みにくい=高尚」ってわけでもないですからね。
全体を通して、どことなく無機質な感じもするんだけれど、その中には確かに何かしらの強い感情が含まれていて、そこが読み手をひきつけるのかもしれない、とも思います。
ときどき、時制や場所が(わざとかもしれないが)急に飛んだりねじ曲がったりして、読みながら少し混乱したり迷子になってしまうこともあるんですがそれはそれで面白い。この作者の特徴なんでしょうね。
物語の中に、ニムロッドと呼ばれる先輩の書く小説が出てくるんですが、この内容も謎に魅力的なんです(^^)
スケールがでかくて、SFチックで、とてもユニークで、そしてあっちの世界(ニムロッドが書く小説世界)とこっちの世界(中本哲史が住んでいる世界)がどこかでつながっているような・・・
また、途中途中で出てくる「ダメな飛行機コレクション」が小説にスパイス的な役割も果たしてくれます。
最後は、ちょっと感傷的に終わるのだけれど、その終わり方も印象的です。
何かが足りないような、そんな不安感を覚えさせる小説であるけれども、それがまた魅力となっていて、とても面白く読むことができました。
いろんな人にお勧めしたい本の一冊になりましたね(*^^*)
ではまた~
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