川上未映子著「夏物語」子どもを産むことの意味、産まないことの意味。
こんばんわ。
コロンボです。
3月の末から4月にかけて、ぼくの生活はめまぐるしく動きました。
3月の後半には、人事異動の発表、そして東京への旅行。
人事異動って、とっても大きなストレスですよね。なんか気持ちにまるで余裕がなくなって、不安ばっかりがよぎってしまいます。
そして、もちろん4月に入って、新しい部署で、新しい人たちと、新しい仕事に取り組むのも、まぁ大変。毎日夜遅くまで残業したりで、気持ちの落ち着く暇もあったもんじゃないです(^^;)
幸いにして、新しい部署のスタッフがとてもいい人たちばかりだったので、それは非常に大きな救いでもありましたけれどもね。
それに、土日には別の仕事にヘルプで入ることになったり(その仕事もとても神経を使う仕事なんです)で、、、しんどいですわ(+o+)
小説「夏物語」
で、そんな中で読んだのが、川上未映子氏の「夏物語」です。
なんやかや言って、通勤電車の中でですけど、本を読む時間はできるだけ作るようにしています。
川上未映子さんは、ぼくの好きな作家のひとりです。
去年に読んだ「ウィステリアと三人の女たち」も、とても印象的で良かったです(^^)/
独特の鋭い感性で、時に深い洞察があったり、時にどこかファンタジックだったりするんですけど、なんというか、彼女の「文体」がぼくにあってるんでしょうかね。
で、今回紹介する「夏物語」。実はまだ、単体の本としては発行されてません。今年の七月に単行本が出るようですが、ぼくはこの小説を「文學界」という雑誌で読みました。
2019年3月号~4月号にまたがる前編・後編のある長編小説で、とても読み応えがありましたね。
小説のテーマ
主人公の女性の生まれ育った環境、姉妹とその親の問題、姉の豊胸手術、姉とその娘(思春期)の問題などが前半に描かれて、後半は「人工的に妊娠して子どもを産むこと」をテーマに濃密にかつ深く物語が展開していって、ぼくはグイグイと引っ張られるように読んでしまいました。
子どもを産むということの意味、あるいは産まないということの意味。とても考えさせられて、なおかつとてもいい文章で書かれていて。そして、最後にはどこか救いのようなものをもたらしてくれました。
ぼくは、女性の作家で好きな方はあまり多くないのですが、川上未映子さんは、やはりいいな、と再確認しましたね(^^)
大阪弁
あと、この小説の中で面白かったのが、主人公やその姉とその娘がしゃべる大阪弁! 川上未映子さん自身も大阪出身なので、大阪弁がネイティブなんでしょうけれど、それでもここまで生きた、そして面白い大阪弁を書くのは難しいんじゃないかと思いますねー(^^)
読みながら思わず、そうそう!そんな言い方するよな!(ぼく自身も大阪出身なので)というような会話が書かれてるんですよね。
そこは本当に面白いし、少なくともここまでリアルに大阪弁の会話を書いた小説は見たことがなかったので、面白くもあり、驚きでもありましたね(゚o゚;
全体的に重くて暗い物語ではあるんですけど、大阪弁で繰り出される独特のユーモアは、この小説の中でとても大きな役割を果たしてたんじゃないかな、なんて思ったりもしますね。
では☕